「デザイン・ブック 婦人画報別冊 1952年夏」
最近手に入れた「デザイン・ブック 婦人画報別冊 1952年夏」号をお見せします。
華やかで楽し気なカバー。
表紙から10pもカラーグラビアが続きます。手芸のある街着ってなんのこと? おそらく刺繍が施してある、くらいの意味。
モノクロページも、欧米雑誌などからの転載したドレスがいっぱい。
「タフエタ」ってタフタのことでしょうね。
夏号なので、素敵なスイムウェアやリゾートウェアもたくさん紹介されています。
ショートパンツ、サンダルも素敵。
このスイムウェア、可愛いけど着る人を激しく選ぶ。
と、海外からの転載が怒涛のごとく70pほど続きます。その後ファッションイラストや、日本のデザイナーたちの作品が紹介されていきます。もちろん、マダム・マサコの作品もありますので、見てみましょう。
「海で着る」というテーマで、ビーチウェアを発表しています。スイムウェアの上に羽織るもの、カバーアップのようなものでしょうか。帽子はクーリー型。これはマダムの著書の中にも何度も紹介されている形の帽子です。
もうひとつはこちら。「レースのよそゆき」。
ここでもマダム節が光ります。レースの使い方について自説を展開しています。マダム曰く、レースの使い方は難しい。みみっちく使わず、ふんだんに使うことが必要。なぜならレースはよそゆきだから。。。というようなことを書いています。
白いレースのワンピースって清楚な雰囲気のものが多いですが、マダムのデザインは大人の女性が着るレースです。品もあり、セクシーさもあります。合わせているヌバックの黒いパンプスもいいですね。白いレースと黒のパンプス、あるかも。
みみっちいのはだめ、っていうのは非常にマダム・マサコらしくて好きです。
現在でも、雑誌の別冊として、ムックを出すことって多いと思います。この頃すでに別冊ものはたくさんあったようです。
別冊というのは、転載料金にもよりますが、洋雑誌から転載し、編集しなおし、そこに日本語の解説をつけるだけ。あらたに撮影する必要はありません。また、この場合、たくさんスタイルを見せるのが目的ですから、型紙解説のページを設ける必要もありません。編集者が死ぬかもしれないけど、ビジネスとしてはいい。
現在、雑誌のビジネスモデルが壊れ、出版業界は風前の灯となっています。マダム・マサコは、ファッション誌のビジネスについて、当時の欧米雑誌と日本を比較して、その違いを度々指摘しています。また、そのことについては書いてみたいと思っています。
最後に、奥付を見てみましょう。
この時の「婦人画報」の編集長は、熊井戸立夫です。桑沢洋子などとともに、戦前から「婦人画報」編集部に属し、戦後は名編集長として名を残しました。熊井戸氏の晩年のインタビューで、マダム・マサコのことを語っています。それもまたご紹介したいと思います。
これを読んで、わーこんなワンピ着たいわーと思ってもどこにも売ってないわけです。洋裁学校行って自分で作るか、テーラーで作ってもらうかしかない。ただ眺めるだけでワクワクしたり、ため息ついたりしていた女の子はたくさんいただろう昭和27年の夏に思いを馳せます。