マダム・マサコの最初の著書「モード案内 1」
戦後すぐは「装苑」、「スタイル」などにデザインやエッセイを寄稿していたマダム・マサコ。その最初の著書は昭和25年(1950年)婦人画報から刊行された「モード案内・1」です。
洋裁に必要な生地の知識、スタイルについてのティップス、ブランド紹介まで、当時のモードにまつわることを網羅した内容になっています。
この、生地やスタイルについての指南、というのは、こののちのマダム・マサコの著書に貫かれていくテーマでもあります。
特に生地の種類や、どんなときに、どんなスタイルに用いるべきものかについては、本当に丁寧に丁寧に、解説しています。
モダンな装丁を見てみましょう。
モダンな装丁を手掛けたのはハンス・アルプ。
ハンス・アルプ(ジャン・アルプ)は、ダダイズムの彫刻家、画家、詩人として戦前から戦後にかけて活躍しました。 ジャン・アルプ - Wikipedia
コラージュやアッサンブラージュの手法を応用した作品を制作したアルプらしい仕上がり。ダダイズムのアーティストを装丁デザインに起用するあたりに、マダム・マサコの見識の高さ、センスが表れています。
上のカバーを外すと、鮮やかな赤地にアルプが描く抽象的な模様が出現。
本を広げると、
さまざまなブランドロゴを、グラフィカルに見せている見返し部分。
記事の中でも、高級ブランドの特徴などを紹介しているので、そのロゴを見せるという意図があるのでしょう。
さらにめくって……
スタッフクレジットを見ると、
フォトグラファーに、土門拳の名前があります。
土門拳は、マダム・マサコのポートレートとエッセイ「マダム・マサコの頬骨」を「死ぬことと生きること」の中に残しています。
土門拳 「死ぬことと生きること」